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 物部康雄   YASUO MONOBE  
  ノーベル賞と特許


53.悲しき原発再稼働賛成派

2014/11/17




52.ノーベル賞と特許

2014/10/20



51.税の本質

2014/09/29




50.聞くより低し富士の山

2014/03/07




49.アベノミクス

2014/01/14










今年もというべきか、日本人が科学の分野でノーベル賞を受賞した。もちろん喜ばしいことだ。それとともに、経済紙などで特許やその効果などをはやす記事が多くみられる。もちろん、個々の企業や個々の発明家にとっては、特許は金のなる木であろうが、はたして世の中全体にとって今のような特許制度がいいのか、私は、30年以上前から、折に触れ、疑問を呈してきている。「ちょっと過剰保護、過剰独占」ではという疑問である。

確か、少し前に、特許は、英国王が特定の商人と組んで儲けを独占しようとして法制化したのがことの始まりといったことを述べた気がする。細部には間違いがあるかもしれないが、要は、その生まれは、それほど高尚なことではないということである。ノーベル賞級の発見・発明は、間違いなく世のためになるであろうが、その特許が世のためになっているかどうかは、別問題である。少なくとも、ニュートンが特許で金を儲けたなどということは聞いたことがない。特許権者が得をしているのは間違いないが、世の中全体が得をしているかどうかが、別途検証されなければ、と思っている。それに、そもそも、ほとんどすべて発見・発明は、それがその時になくても、すぐに誰か他の人が成し遂げているのであり、その意味では、もちろんそれは称賛に値するが、運も良かったというのが本当のところである。運よく称賛をいただくのはいいが、運よく独占するというのは、どこかで遠慮すべきものがあるはずである。

どうやら、特許の保護を、今よりスケールダウンする方が、よりよく世の全体のためになるはずというのが、過去30年間考えたうえでの私の結論である。もちろん、特許を企業戦略の要としている会社にとっては、受け入れがたい発想であろうが、仕組み・法律というのは、所詮は、誰かが得をして誰かが損をするものであり、そのバランスをどこに引くかということにすぎず、皆が喜ぶような法制度は、あり得ないと言っていい。

具体的には、特許の期間を5年から10年程度にし、別途、それにかかった開発費の10倍程度を国、あるいは世界全体、で買い上げるという方向へことを動かすべきであろうと考えている。もちろん、これは、今の我が国の法律家の考えにも、国際的な仕組みにも真っ向反対の方向であろうから、すぐに実現するとは思っていない。しかし、後進国のことやあれこれ考えると、かなり遠い将来のことかもしれないが、特許の保護を縮小する方向へ世の中が変わる可能性があると信じている。ちょっとそれまで長生きできるかどうかは、分からないが。
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