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 物部康雄   YASUO MONOBE  
  悲しき原発再稼働賛成派


53.悲しき原発再稼働賛成派

2014/11/17



52.ノーベル賞と特許

2014/10/20




51.税の本質

2014/09/29




50.聞くより低し富士の山

2014/03/07




49.アベノミクス

2014/01/14










昨日の沖縄知事選では、いわゆる基地撤去を志向する人たちが多数を占める結果が出たようである。この沖縄の基地報道で思い出されるのが、先日の九州の川内原発の再稼働につき地元の承認がなされたというニュースであり、また、それに絡んだ地元や周辺住民の賛否の声が取り上げられていたことだ。私の素直な感想は、「(原発再稼働に)本気で賛成している人などほとんどいないはず。皆、やむにやまれず賛成派に回っているだけなのでは。」というものであった。

一つ間違えば、町全体が消えてなくなるような化け物を地元に誘致したいと思う人は、よほど世のため人のための犠牲精神にあふれた人ででもない限り、まず、いないであろう。ほとんどの賛成派は、「原発がないと生活ができない。誰が俺の生活を保証してくれるんだ。俺だって、本当は反対したいんだ」と心の中で叫びながら、涙をこらえて賛成の声をあげているのではなかろうか。そう、悲しき賛成派である。もっとも、「これだけ金がもらえれば、文句はないよ。事故が起きたら、その時は運が悪いと諦めるさ」と達観している人もいるであろうが、それはほんの一握りの人たちであろう。

原発を誘致したり再稼働して潤うのは、基本的には地元、それも施設のある市町村だけである。その狭い場所の中では、直接間接に多くの人が潤うであろう。多分、半分以上の人が。もし、その中で反対派が大きな声を上げれば、衝突が先鋭化して町が分裂してしまうことになる。そして、それを抑えるために、本来関係のないようなところにまで金が回るようになる、という悪循環に陥っているのであろう。いわば口止め料がふるまわれていると言っていい。

でも、施設に近くても、その周辺市町村の住民にとっては、直接的にも、恐らく間接的にも、原発誘致や再稼働による経済的メリットはほとんどないはずである。それも、万が一の時には、多大のメリットを受けている立地市町村とほとんど変わらないリスクを背負わされているのにである。常識的に考えて、このような状況で、もし、範囲を広げて、例えば施設から半径60キロメートル以内に住んだり働いたりしている人を対象に、本気で住民投票をすれば、原発誘致はおろか、再稼働すらも、不可能であろう。「途方もないリスクだけ背負わされて毎日を暮らすのは、まっぴらごめん」、という人の方が圧倒的に多くなるのは火をみるよりも明らかなはずである。それが、今の制度では、立地市町村だけの「賛成多数」でまかり通るというのだから、如何に民意を反映させないように、させないように、と政治制度が成り立っているかを示す好材料といえそうである。避難訓練だけさせて、イエスともノーとも言えないというのは、あまりに片手落ちと思われるであろう。意外に、避難計画の策定がちゃらんぽらんなのは、結構、そんな裏事情からなのかもしれない。そう考えると、原発の誘致場所の選定は、「市町村の賛否で受け入れ派が勝てそうなところ」しかないことになる。何のことはない、誘致場所は、その地理的な安全性ではなく、そんな極めて政治的な要素で決められているのであろうから、こりゃ、とてもではないが、安全なわけがなさそうである。

原発問題ほどではないかもしれないが、沖縄の基地問題も似たところがある。誰も心から基地がほしいと思っているような人はいないが、それがないと、あるいはそれを材料にしないと、経済が成り立たない、生活が成り立たない、という悲壮な現実に追い詰められた結果でしかないはずである。いうなれば、札束でほっぺたを叩かれているようなものである。ただ、昨日の選挙結果を見ると、あまりに露骨な札束攻撃が、墓穴を掘ったようであるが。
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