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私の一言   MY SHORT TALK
 
 物部康雄   YASUO MONOBE  
  悪い奴ほどよく眠る


70.悪い奴ほどよく眠る

2021/5/27



69.和を以て貴しとせず

2021/3/16




68.神々の葛藤

2021/3/1




67.パチンコ店が宗教施設に

2021/2/12




66.日米の裁判の差

2021/1/22




65.ネットでの中傷

2020/10/23




64.素人と専門家

2020/7/29




63.税金の垂れ流し

2018/2/26




62.区分所有建物の
   固定資産税

2017/7/28




61.わけの分からぬ家族信託

2017/3/8




60.呆れるしかない広島訪問

2016/5/31




59.さらば民主党

2016/3/28




58.越後湯沢の惨状

2016/3/7




57.権威を疑う

2016/1/25




56.年間200億円

2015/12/15




55.小仏トンネル

2015/8/6




54.18歳で選挙権

2015/4/20










映画は見ていないが、黒澤監督の代表作の一つにこのタイトルの作品があったはずである。裁判案件を担当していて、つくづく、この言葉が思い出される。本当に、日本の裁判所は悪い奴に安心した眠りを与えるためにあるようなところがある。昔からそれを感じていたが、その度合いがどんどん増しているようで、困りものである。

まだ若いころだったが、言った言わないの証拠しかない案件で、裁判官がのっけから「書面がなければ契約の存在は認められません。」と言い放ったのを聞いて、よっぽど、「そんなものがあれば、わざわざこんな所へは来ない。それがないから裁判になっているのだ。そんなことも分からないのか。」と言いたかったことがある。ただ、当時は、それでも、気骨のある裁判官もかなりいて、面白みが残っていたが、最近はそうした裁判官はどこかへ一掃され始めているようである。

正反対の証言をする者が目の前にいた場合には、嘘を言っていそうな者を助けて、本当のことを言っていそうな者の証言については「容易に信用しがたい」という意味不明の言葉でお茶を濁し、最後に「他にこれを認めるに足る証拠はない」として原告の請求を棄却するというのが最近の裁判の一貫したパターンである。何のことはない、悪い奴ほどよく眠ることになるわけである。黒澤作品で裁判所が登場したのかどうかは知らないが、今やその世界である。

結論的に言うと、今の裁判官は、自分の法廷で堂々と嘘をつく人間、悪い奴、がいるという事実を認めることが出来ないのである。それを認めること、すなわち平気で自分に対して嘘を言うものの存在を認めることは彼らの自尊心が許さないようなのである。しかし、そんな身勝手な自己満足のために裁判をゆがめられてはたまらない。以前に掲載した「素人と専門家」で取り上げた問題とも関わるが、日本の裁判は、事実の認定という裁判の根幹部分に致命的な欠陥がある。はっきり言って、今の裁判所や裁判官には事実を認定する能力、特にどちらが嘘を言っているかを判定する能力も気力もないのである。

アメリカでは簡単に裁判が提起されるが、それが本格的なTrialと呼ばれる陪審員の前にまでいくことは稀である。事実はそのTrialと呼ばれる陪審員が判断するので、裁判官にはそもそも事実判断権がないわけである。そうであるから、訴訟当事者は、たいていの場合、その一歩手前で和解をすることとなる。陪審員という神の声の重みと言っていいであろう。それに比して、今の日本の裁判官の事実認定は、AIにやらせてもできそうな形式論だけであり、その前提は自分の前で平気で嘘を突く人間の存在は受け入れ難いという何とも情緒的な事情である。

そして、困ったことに、事実認定問題は最高裁への不服申出の道がなく、そうした事件はいわゆる判例集の類にも掲載されることはない。マスコミが取り上げるような事件ででもない限り、誰にも知られることなく嘘が通るのであり、悪い奴は安心して眠れるわけである。考えれば考えるほど、気が滅入る。





























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