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 物部康雄   YASUO MONOBE  
  ネットでの中傷


73.スポーツ賭博

2024/3/22




72.公然の秘密
(幻の日本一のヒバ林)


2024/1/12




71.公職選挙法違反

2023/1/25




70.悪い奴ほどよく眠る

2021/5/27




69.和を以て貴しとせず

2021/3/16




68.神々の葛藤
  (道真と天神様)

2021/3/1




67.パチンコ店が宗教施設に

2021/2/12




66.日米の裁判の差

2021/1/22




65.ネットでの中傷

2020/10/23



64.素人と専門家

2020/7/29




63.税金の垂れ流し

2018/2/26




62.区分所有建物の
   固定資産税

2017/7/28




61.わけの分からぬ家族信託

2017/3/8




60.呆れるしかない広島訪問

2016/5/31




59.さらば民主党

2016/3/28




58.越後湯沢の惨状

2016/3/7




57.権威を疑う

2016/1/25




56.年間200億円

2015/12/15




55.小仏トンネル

2015/8/6




54.18歳で選挙権

2015/4/20










ネットへの書き込みが常にマスコミやSNS上で問題となっている。私も、時折、ビジネス絡みでの中傷記事の扱いにつき相談を受けることがある。数年前だったかもう10年以上前になるのか覚えていないが、プロバイダーの責任制限というタイトルでこの問題に対する特別法が制定されたとき、そのタイトル名にとても違和感を覚えたことが思い出される。何というか、根っこがへんてこりん、なのである。

昔、掲示板と言えば、電車の駅にかけてあったまさに掲示板であり、そこにチョークのようなもので「・・・ちゃん先に行く。」「・・大好き」とかと言ったたわいのない伝言に利用されていたのであり、もちろん、それにつき表現の自由だとかいった大げさな話は誰もしていなかった。そして、普通は、数時間で消されるか、内容がふざけていれば、駅員さんにさっさと消されていたはずだが、それにクレームが出されたといった話も聞いたことがない。要するに、書くのは自由だがそれにつき書き込んだ者には何らの権利もないのであり、それが当然であった。また、掲示板の提供者(電鉄会社)は、人の悪口を言うような内容は、本人からのクレームを待つことなく自ら消していたと思われる。それが社会常識というものであった。

ところが、世の中が権利意識に目覚めたと言ったらかっこいいのかもしれないが、昨今のネット中傷問題を見ると、根本的に何かおかしい気がしてならない。駅の掲示板は電鉄の管理下であり、電鉄がその責任でサービスとして無償で提供していたもので、書き込みをいつどのように消すかは駅員さんの判断で決めればいいだけのことで、すっきりしていた。それが、何故、ネットの時代にはそうしたすっきりしたことができずに、大げさなプロバイダー責任限定法なるものが必要とされるのであろうか? 理由は簡単であり、駅の掲示板は無償での電車の利用者への純粋な便宜の提供であり、駅員さんが適宜に消去することで構わないが、ネットの掲示板はそのほとんど全てがそれ自体がビジネスの種になっているという違いであろう。お金が絡んでいるわけである。

本来、利用者の便宜のために無償で提供されていた書き込みを商売の種にすることが悪いとは言わないが、商売のタネだからといって特別な保護を得るべきでもない。昔の掲示板に人の悪口や下品な言葉を書けば、普通は、駅員さんにすぐに消されていた。それが、ネットになり、それを商売のタネにしている人がいるというだけで、「すぐに消さなくてもいい」だとか「よほどでない限り責任を負わないようにしよう」などと特別に優遇するのは、業者保護が過ぎるのではないか、と思われる。その際に、まるで投稿者の表現の自由や権利なるものを業者保護の隠れ蓑に使っているように思われてならない。
大体、新しい規制法というのは、骨抜きにされてから法案として成立することが多いが、このプロバイダー責任制限法は、見方によれば、一般法や世の健全な常識を排除して、ネット上に治外法権的な世界を作っているようなものであり、骨抜きではなく、特別保護法であり、私などからすると呆れた法律である。少なくとも、掲示板を出している業者は、名指しかそれに近い形で取り上げられた当事者から「消してくれ」と言われたら、消すのが本来の掲示板業者の責任ではないであろうか。駅員のおじさんが、「書き込んだ人の権利の問題もあり、消してくれと言われても、すぐにハイとは言えません」などとへ理屈を述べるとは思われない。

しかし、それでは投稿を利用した今のネット商売ができない、という反論は何の言い訳にもならない。自分の商売に悪影響が出るから、中傷にあった人は我慢してくれ、というのは、単なるわがままのはずである。しかし、ことインターネットというものが絡んでくると、まるで本来の法的な考えや当たり前は通用しないかのごとき錯覚に陥り、結果としてネット業者保護を優先している傾向があからさまに過ぎ、嫌悪感を覚えるほどである。ちょっと立ち止まって、まともな話ができるようにしてもらいたいと強く思う。

もちろん、政治家や上場会社のように、本来オープンな批評が許されてしかるべき対象と、町のラーメン屋さんを一緒にはできないのであり、むしろそうした違いをもっと明確にしておかないと、商売優先で弱い者いじめを見過ごす嫌な世になりかねない。





























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