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私の一言   MY SHORT TALK
 
 物部康雄   YASUO MONOBE  
  法学教育


37.アンコールの拍手

2012/12/27




36.総選挙、やれやれ

2012/12/17




35.祭りの会その後

2012/12/11




34.地震予知失敗で
   禁固6年

2012/11/22




33.「ねじれ国会」って
   何やねん

2012/11/14




32.暴力団撲滅に反対?

2012/10/24




31.法学教育

2012/09/24



30.人が変わる

2012/09/04




29.和牛商法とテレビ広告

2012/08/22




28.政党は、意見の差
   というより、
   選挙母体の差

2012/08/03




27.政党の存在理由

2012/07/27




26.祭りの会

2012/07/20




25.投票に行って
   一万円の日当を
   もらおう!

2012/06/27




24.選挙のあり方

2012/06/20




23.大きな災害と
   個人的な不幸での
   被害者救済の差

2012/06/11




22.才能と所得

2012/05/18




21.さらに固定資産税
   について

2012/04/19




20.ゴルフ場にかかる
   固定資産税

2012/03/21



19.バカは死ななきゃ
   治らない

2012/03/02



18.子供の火遊び

2012/02/13



17.知的財産権の保護

2012/01/16



16.10センチ・20センチの
   津波予報を当てて
   何になる

2012/01/11










先日の司法試験の結果、本来は例外ルートとされる予備試験からの合格者が多数出て、現場では戸惑っているようである。せっかく作った法科大学院制度の存立基盤が揺るぎかねないからである。確かに、10年以上前までは、弁護士資格を取るための試験、司法試験、は難関で、いわゆる司法試験浪人と呼ばれる人が多くいた。それが一つの社会現象として、いろいろに取りざたされていたのも事実である。そういう背景のもとであろうが、バブル景気が絶頂を迎えた頃だと思うのだが、「これからは、法律問題が、企業においても、一般社会においても増えてくるので、弁護士の増員が必要である」「そのために、受験競争の激しい、いびつな?、今の試験制度に代わって、社会人経験者にも法学教育を施す法科大学院制度が適当」といった話が持ち上がり、結果、今のあり様である。

新聞紙上等で説明されている今の司法試験制度自体ついては、わざわざ触れないが、一つ気になるのは、「法学教育」という言葉である。実は、「法学なんか教育するほどのものなの?」あるいは、「教育なんかできるの?」というのが、私の素直な感想だからである。高尚な法律理念や法律の体系を教えるには、大学の先生が適当であろうし、それは、すでに大学の法学部でやっていることでもある。もし、今の裁判実務等を教えるなら、弁護士や企業の法務の専門家が適当と思われるが、法曹となろうとする人たちに対して、はたしてそのような教育が要るのかという点については、疑問がある。 私は、国家資格というものは、その知識が一定のレベルに達していればそれでいいものであり、その段階でそれ以上を求めるのは、おかしいと思っている。そのような前提で考えると、かつてのような狭き門がそもそも問題であったのであり、もし、増員が必要なら、その枠を広げさえすればそれでよかったはずなのである。素直に。それが、やたらに「法学教育のあり方」などという言葉を持ち出して、法科大学院を設立し、挙句に、今の体たらくである。「一体、どこの誰が、法学教育をできるのだ」と言いたいほどである。

この話が出た時、「ああ、これは、医学部のまねをして、(親に)小金のあるものは資格を取れるようにしたいのだな。そして、それを逆手にとって、利権狙いの役所が入り込んでいるな。」と感じた記憶がある。恐らく、当時、第一線で活躍していた弁護士の子供たちが就職時期となり、なかなか親の後を継げないでいる状況にさしかかっていたであろうと想像される。ちょうど、経済も好調で、法務ビジネスが飛躍的に増えると経済界も意識し、法曹の大幅増員・大学院制度、という儲け話に乗っかったというところであろう。医学は、さすがに教育現場がないと教えられないであろうが、法律は、全くその土台が違っており、所詮、無理な語呂合わせの一種と言える。それに、大学の法学部をそのままにして別に法科大学院を作るということも、呆れるしかない。

さて、裏話的なことはさておいて、より大事なことは、法学教育である。学問としての法学、実務としての技術的法律知識、は教えられるが、私の感覚では、一番大事な法律センスや法律家としての心構えといったものは、教えられるものではなく、普段の仕事・生活を通じて、学びとるしかないと思っている。 そう考えると、社会人として勤めながら、あるいはアルバイトをしながら、一人で参考書を読んで司法試験を勉強しているものと、法科大学院に3年間通って授業を受けているものと、そのどちらがよりよい経験をしているかは、簡単に答えのでることではない。 ことに、近頃はインターネットを通じてほとんど全ての標準的な知識が簡単に手に入ることになっており、「授業」、それも制度的なものがいかほどの役に立つのか、疑わしい。私の個人的な体験から言うと、大学での法律の授業で記憶に残っているものもなければ、記憶に残る先生もいない。でも、自分の法律センスが他人に比べてそれほど劣っているとは思っていない。
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