内容証明郵便は合憲か? | ||||
15.オリンパス問題と 監査法人 2011/11/10 14.内容証明郵便は 合憲か? 2011/09/28 13.無罪判決 2011/09/14 12.内閣の記者会見は バラエティ番組? 2011/09/12 11.首相が変わって 何がどう悪い? 2011/09/01 10.風評被害と マーケットの力 2011/08/01 9.裁判員は素人か? 2011/06/30 8.原発の安全性と マーケット機能 2011/06/09 7.昔の方が、まだ、 ましだった? 2011/06/02 6.ちょっと気分と角度を 変えて原発問題を考 えてみる 2011/05/19 5.科学的な地震予知? 2011/04/25 4.(福島)原発事故と 賠償責任 2011/04/18 3.地震で思い出した 祖母の話 2011/03/28 2.103歳のジャッジ 2011/02/02 |
弁護士がよく利用する制度に、内容証明郵便による通知というものがある。典型的には、契約の相手方が約束に違反したのでその契約を解約する場合の通知であるとか、支払いの催促と言ったところであろうか。とにかく、頻繁に利用される制度である。実は、私は、この内容証明に対して、以前からずっと疑問を抱いてきている。「これは、実質的な検閲と同じではないのか」「少なくとも、弁護士がこのような制度を疑問を持たずに使うのはおかしいのではないか」と。 検閲的な側面を意識さえしなければ、これほど書面通知の事実の証明として完璧なものはないであろう。しかし、逆に言うと、そこまでの完璧性(公的な関与)が必要なのかという問題意識である。欧米では、このような完璧な制度はないと思われる。通常は、出した人や届けた人が、その旨の供述書を作成して通知の証明に代えているのが一般である。彼らにとっては、「役所に内容を証明させる」といった革新的(?)な方法は、想像を絶する事なのではなかろうか。信書の検閲の禁止は、本来は信書の内容に対する公権力の関与の排除を目指したもののはずであり、その内容を公権力に証明してもらうという発想そのものが、逆さまに映るであろう。 ここで、憲法論議をするつもりは、毛頭ない。ただ、身近に、どこかおかしな制度があるのに、それらが何らの疑問すら感じられずに、いつまでもまかり通っているところに、いささかの不安を覚えているわけである。ちなみに、以前は、内容証明の確認は公務員たる郵便局の職員が担当していたのであるが、例の民営化以降は、形式上は、内容証明を扱う郵便公社の特定の職員に公的な身分を付与して、今も公的な内容の証明制度が続いているということらしい。何とも、公的なものが好きなお国柄というところか。 余談だが、書面の中には、株価に重大な影響を与えるようなインサイダー情報もあるであろうから、ことによると、大儲けの機会とならないとも限らない。そうなっても、内容証明から漏れた場合は、証券等監視委員会もなかなか見つけにくいのではなかろうか。 制度としての相当性には大きな疑問を感じつつ、普段の実務では、その利便性を無視しえず、利用し続けているのは言うまでもないのであるが。 |
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